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海外キャリアの歩き方 第19回 ベトナム社会主義共和国 勝 恵美さん

ベトナム社会主義共和国良いことと悪いことが両極端で強烈な国
今日もカメラ片手にベトナム情報を届ける

 勝恵美さんの初めてのベトナム旅行の印象は最悪だった。大学時代に旅した多くの国では、特にトラブルはなかったのだが、ベトナムだけは別だった。タクシーでは予約していたのとは違うホテルへ連れていかれる、列車のチケットを買えば金額を上乗せされる、カメラを盗まれる、あげくの果てには風邪で入院してしまった。

「これは負けた! と。でも、その反面、助けてくれたり優しい声をかけてくれたりする人たちもいたんです。良いことと悪いことが両極端で、印象深い国でした」

 大学を卒業すると、勝さんは、テレビCMの制作会社に就職した。だが仕事の内容などに疑問を覚え、昔から好きだった写真の勉強をしたいと思うようになった。そこで、写真芸術専門学校に入学し、1年間の写真の勉強を経て、2002年7月、撮影のテーマを求めてベトナムへ飛んだ。

「何より“人”に一番興味がありますね。撮影をする時でも、被写体になる人と会話をして、その人を理解しないと、素っ気無い作品になるんですよ」

 勝さんはつたないベトナム語で必死にコミュニケーションをとるように努めた。そして、タイミングよく現地の女の子たち4人が暮らす家にホームステイできることになった。

「一緒に住むことになった子の1人は、日本語を勉強しているので、コミュニケーションがある程度とれます。でも他の3人は日本語どころか英語もダメ。彼女らの両親や祖父母がよく遊びにくるのですがこの時も当然、ベトナム語オンリー。必要に迫られて会話をしたので短い間にかなり上達しました(笑)」

 ホームステイをしたことで良い友達もでき、ベトナムにもっと滞在したくなった。しかし、何もしなければ、お金が続かない。勝さんは現地で就職活動を始め、旅行会社で、日本人の顧客向けに飛行機のチケットやホテル予約などの手配をするオペレーターの仕事を見つけた。
勝 恵美さん
PROFILE

日本語フリーマガジン『SKETCH』
ハノイ支部マネージャー

勝 恵美さん(30歳)

1976年生まれ。早稲田大学を卒業後、テレビCMの制作会社に就職。その後、東京写真芸術専門学校で1年間の勉強を終えて、2002年7月、撮影のテーマを求めてベトナムへ。写真を撮りためながら大学付属のベトナム語学科で半年ほど学ぶ。その後、現地の日系旅行会社・APEXに就職。半年ほど経って同社の発行する『SKETCH』の編集部へ異動、現在に至る。

日本語フリーペーパー『SKETCH』

ベトナムで発行されている定番日本語フリーペーパー『SKETCH』。旅行と現地情報、観光情報満載!

 オペレーターの仕事を始めて半年が過ぎた頃、同社が発行するベトナムで一番人気のある日本語フリーペーパー、『SKETCH』編集部に空きができた。月刊の同誌は発行部数2万5千部。最新のスポットやイベントの情報紹介、さまざまな角度からベトナムを紹介する特集記事などを掲載しており、読み応えのある情報雑誌だ。オフィスはホーチミン市とハノイ市の2ヶ所にかまえ、総勢17人のスタッフが働いている。もともと編集業務に興味があった勝さんは即座に異動願いを出した。

「異動した当初は文章も稚拙で直されてばっかり(笑)。でも最高に楽しかった。自分の出した企画が採用され、取材に走り、写真を撮り、記事を作る。締め切り前の忙しさは目が回りますが、誌面に掲載されるときの喜びを考えれば、ちっとも苦になりませんね」

 現在は4人のスタッフをしきる支部マネージャーだ。編集にかかわる業務だけではなく、様々なマネジメント業務も加わった。

「記事執筆や撮影はもちろんのこと、営業関係やスタッフの管理、日本から来る雑誌やテレビの取材のアポ取りやスケジュール調整など、仕事は増えましたね。肩書きは偉そうですが、言ってみれば何でも屋です(笑)」

 忙しい日々を過ごす中で、昨年は念願の個展を開催。ハノイ市内の画廊に写真作品25点を飾り、人々の目を楽しませた。4年に渡り、ベトナムの人々を撮り続けてきた成果だ。

「なんとか時間を作って写真は撮っていきたいです。将来は、日本で個展を開くのが夢ですね。雑誌作りも含めて今はすべてが充実しています」

 ベトナムで一生懸命に毎日を過ごす勝さん。だが、ふとしたことで落ちこむこともあるそうだ。しかし温かい現地の人たちに励まされると気分はすぐに明るくなる。初めてのベトナム旅行で受けた強烈な印象は今も、色あせないままだ。

(取材/文)梅本昌男

ここが困った海外生活

 ベトナムでの生活に欠かせないものといえばバイク。私も公私共々バイクなしには暮らしていけません。でも、バイクに乗るのは、相当、神経を使います。1年を通して、道路のホコリや排気ガスはひどく、交通事故は日常茶飯事。また、6月頃は気温と湿度が最も上がる季節でサウナ状態です。照りつける太陽の下でバイクを走らせていると、もうクラクラ。雨季は道路に水が溢れて通行止めになることもしばしば。そうなると今度は迂回する車で道路が大混雑し、カメラや三脚を抱えた私は雨ガッパを着て死にもの狂い。冬は冬ですごく冷えるのでマフラーにダウンジャケットの完全防備。バイクに乗っていて、泣きたくなることは、しょっちゅうですよ。

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